特許等でよく使われる、知っておくとちょっと便利な言葉
必ず役に立つとは言えませんが、恐らく有益であると感じてもらえる、請求項でよく使用される言葉を幾つか上げてみます。請求項の文字数を少なくできることでも主として使用される理由の一つであると考えられます。
【設ける 備える 具備する】
これら三つはだいたい同じような使われ方です。
例) 容器底面に脚を設け、… 容器底面に脚を備え、…
例) 容器底面に脚を具備し、…
【形成】
形を定める際に使用します。普通のことですがよく使うため記載しました。
例) 円形に形成された容器に… ~を棒状に形成し、…
【前記 該(がい)】
これらも同じように使われます。請求項内前半に記載した部位を再度記載し、新たな特徴を説明する場合に使用します。
例) 前記容器底面の中央に… 該容器底面の中央に…
【略(りゃく)】
略は、大体と同じようにつかわれます。
例) 容器内側の中央から、略垂直に伸びる持ち手を具備した…
例) 該天板の近接側一片を略膝上により支え…
略を使うことで、大体垂直に持ち手が付いていれば権利範囲となり、意図的に垂直を避けてやや斜めに持ち手を付けた類似品が出回ることを防ぎやすくします。
略膝上と表現することで膝に限定せず膝付近も含む広い意味を含むようになります。
【近傍(きんぼう)】
近傍は少しぼやかせる記載です。
例) 遠隔側の近傍に脚を有する…
何々の近傍 は、何々の辺りや、何々の近く、何々のその辺、のような曖昧な記載で、場合によってはよしとされないこともあるとのことですが、逆によしとされればある程度広い意味を持つことができます。
【又は】
例えば、六角形か又は八角形で効率がよく、その他は効率が差ほどない場合等は使いやすい言葉です。着脱式に形成しても折畳み式にしても効率的な場合なども便利です。
例) 棒状で六角形に形成するか又は八角形に形成し…
例) 上下二分割にされた液晶を折畳み式、又は着脱自在に形成したことを…
【少なくとも】
大きさ、長さ、範囲等を定めきらないぼやけた記載です。
例) 少なくとも液体が通過できる程度の孔を設け…
例) 該容器は少なくとも両足同時に踝まで浸かってもお湯が溢れない…
少なくとも液体が通過できる程度の孔と記載することで、必ず孔を設けた発明品となりますが、極端に言えばドバドバ水が通過する程の孔を形成しても、チョロチョロ水が通過しても、ポタポタ水が通過する孔でも権利範囲内と言えることになります。明細書でも請求項でも有益な言葉で、上手に使いたい言葉です。
請求項ではなく明細書に記載することですが、似た内容として次のものを紹介しておきます。
請求項で部材の長さ等を具体的に記載することはお勧めできませんが、補正時に必要になる場合もあるため、明細書には長さや大きさをそれなりに定める記載があるとよいと思います。その際に記載しておくとよいと弁理士さんにお勧めされた言葉が、あくまでも一例であるが、です。
あくまでも一例であるが、凸部の長さは20センチ前後程に形成することが望ましい。といったように記載しておけばよいでしょう。望ましいとの記載も言い切らないあたりがポイントとなります。
森本 (土曜日, 08 8月 2020 16:18)
取り付ける と 設けるのちがいは
なんでしょうか?