発明主婦にやさしいお金をかけない特許出願。 閃いたアイデアをどの手順でまとめるか1

今思うと色々と遠回りをしてきましたが、何度か特許を出願してきた今の自分ならこの手順で出願書類を仕上げる、と考えるものを紹介します。私自身も最初からこの手順が定まっていれば無駄も無く、特許出願、権利化ができていたと思います。無駄に入会金を支払ってほとんど意味がなかった等、失敗を経験した後に定まったものであるため、この手順を当時誰かが私に教えてくれていたら本当にラッキーであったと自分では考えられるものです。

 

手順①

アイデアの図面を描く。あるイメージは全て描き、説明しやすいよう斜視図や断面図、実施例図などを描く。出願前、途中いつでもバリエーションが閃いたら描く。

 

手順②

 インターネット上の特許電子図書館で検索。IPDLや特許電子図書館などの検索ワードでグーグル検索し、そのアイデアが既に出願、公開されているかを確認します。

 

手順③

 出願書類を作成する。明細書を作ります。細かい部分はわからないかもしれませんが、それは相談時に確認してもよいとして、効率を考えると相談前に仮の請求項が仕上げてあるとよいと思います。

手順2のIPDLで他人が出願したものを参考にし、相談用の仮請求項を作成しましょう。

 

手順④

 発明協会の特許無料相談に行く。(予約する。)特許は請求項が全てと言ってもいいので、請求項について相談する。出願に至るまで複数回相談させてもらう。

 

 とりあえず出願までの事前準備としてはこのような流れをお勧めします。

 

特許図面の作成

手順①アイデアの図面を描く。

 手順①のアイデア図面を描く際は、普通に紙に鉛筆で描けばいいです。この段階では閃いたアイデアが既に出願されているか否か判断できていないので、一通り特許電子図書館で確認し、似ているものがないか、似ているものがあっても自分のアイデアのほうが進歩性のあるものであるかを把握した後に次のステップ(図面の本番描き。)に進むとよいでしょう。

 

 

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手順②特許電子図書館で先行類似文献を検索。

 

 特許を出願する際、自分が閃いたアイデアが既に世の中で周知とされているものであるかを確認する必要があります。特許として出願する以上、意味のある権利範囲を特許権利化することを目的として出願しているわけですから、先行類似文献の検索を欠かす事はできません。そういった意味では個人で出願する場合、インターネット環境が必要と言えます。

 

 弁理士事務所に依頼せず自分で特許を出願することはそれほど難しいことではありません。誰でも最初から知識を持ち合わせてはいませんし、発明協会の特許無料相談を利用させてもらえば、どなたでも特許を出願することはできるはずです。

 手順②の特許電子図書館での検索は初期段階として最も肝心な部分であり、最も骨の折れる作業です。閃いたアイデアが周知でないことを確認しましょう。

 

 まずインターネットを立ち上げ、特許電子図書館を検索ワードとして特許電子図書館を開きます。又はこのURLにアクセスします。

http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl

 

 検索メニューとして6項目ある中の “特許・実用新案検索” にカーソルを合わせ、三つ目の “広報テキスト検索” をクリックします。

IPDL 特許電子図書館ホーム画像
IPDL 特許電子図書館 広報テキスト検索

クリックで拡大できます。↑

 

 

 広報種別として五つのチェックボックスがあり、初期は公開特許広報(公開、公表、再公表)にチェックが入っています。

その他、特許公報 (公告、特許) 米国和文抄録 中国特許和文抄録 

公開実用新案公報 (公開、公表、登録実用) 実用新案公報 (公告、実用登録)

欧州和文抄録 中国実用新案機械翻訳和文抄録

があり、チェックは外れています。

 

 前記五項目をまとめて検索するのは大変なので、チェックは一つだけ入れ、確認が済んだらチェックを外し、次の項目にチェックを入れて検索といった流れがお勧めです。

検索ヒット数が少ない場合は特許二種、又は実用新案二種程同時に検索してもよいでしょう。

 

 広報種別の下が水色の背景部分に、 検索項目選択 検索キーワード 検索方式 という項目が横にあり、入力スペースが縦に5列あります。

 例えば出願人が定まっていて、その人の発明の名称を知っていて、特定の特許を検索したい場合はそれらを入力すれば、より的確に検索できるものですが、幅広く先行文献を探す場合は最上部の欄に入力すればよいと思います。

 

 検索項目選択は初期のままの 要約+請求の範囲 にしておき、検索キーワードを入力します。検索結果が1000件を越える場合は表示することができないので、1000件以下になるように検索します。

 雪製造機の検索なら、 雪 製造 とスペースで区切って入力し、右の検索方式をOR検索からAND検索に切り替えます。その後左下の検索ボタンをクリックし、表示結果の一覧表示ボタンをクリックします。

 

 一つの発明で検索する類似先行文献は千件を超える場合もありますが、見当違いの文献もたくさんあるため、二秒で確認できるものもあれば、数十分確認することもあります。

 

 検索結果の確認方法は自分がやりやすい方法でよいと思いますが、一例として推奨できる方法を紹介します。

 一覧表示された文献の 公開番号 が青時で表示され、クリックすることで要約+請求の範囲が表示されます。

特許検索結果ページ

上から五行目辺りに 【発明の名称】 の欄があり、ここを見ることで類似する文献であるかをある程度把握することができます。自分が検索したワードが 折畳み+ホウキ なら、そのキーワードである 折畳み+ホウキ が黄色や緑色でハイライト表示されます。検索したワードが【発明の名称】になければ類似文献でない可能性が高くなるので、私は【発明の名称】にハイライト表示がないなら即座に次文献に移ります。左下に次文献ボタンがあり、クリックすることで一覧にあった次の文献を確認できます。

 

自分のアイデアが折畳みホウキであるなら、【発明の名称】にホウキの製造方法。などと記載があれば、ハイライトされていても確認の必要はないかもしれません。自分が欲しい権利は新規性のあるホウキであり、ホウキの製造方法の権利ではないからです。

(上図の雪製造機械の例も、収納ケースや製造方法ではないため関係性が低い例です。)

 

左上の ●全項目 の表示がある部分をクリックすると、要約+請求の範囲だけでなく図を含む全ての項目が表示されます。情報を多く読み込むため次文献を表示するまでに時間がかかるので、必要なときに選択するとよいでしょう。

 形に特徴がある物の場合は、図面を見るだけで類似文献を確認することができます。●全項目と同じ欄の 図面 をクリックすると全ての図面を表示させることができ、スクロールして確認できます。必要に応じて ●全項目 ●(書誌+要約+請求の範囲) 図面 を使い分けると検索しやすくなります。

 

 

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 検索ワードの注意点。

 折畳み + 椅子をAND検索し、公開特許、特許広報、和文秒録等を確認し終わっても、確認したいことがまだあります。

 折畳み + 椅子 で検索しても結果表示されなかった文献が、

折畳み + いす と入力することでヒットする文献があります。

 

 餅 + スリット で検索しても無かった文献が、

 餅 + 切れ目 などの検索でヒットする文献もあるかもしれません。

 

 この場合私なら、 餅 + スリット で一通り検索したのち、 餅 + 切れ目 のように検索するかもしれません。その他 餅をひらがなで もち とする必要もあるかもしれません。いずれにしても大変な作業になりますが、NOT検索をすることもある程度効果があります。

 

 一回目の検索ワードのセットでヒットした文献の中に、明らかに見当はずれ且つ多く存在したワードをNOT検索ワードとして入力すると効果的かもしれません。

 例えば自分の出願が多機能ホウキであるが、何故か ホウキ製造装置 が多くヒットしていた場合、発明の名称のNOTワードとして 装置 と入力することで効果が期待できます。私はNOT検索が不得意なのか期待ほどの効果を感じたことはありませんでしたが、これによりややヒット数を減らすことはできました。

 

上記のように平仮名やカタカナや漢字を変えることで違いがでてきます。これを見逃すことで出願費用を無駄にすることもあると思いますので、見落とさないよう注意します。

 

 また、特許電子図書館で類似先行文献を検索している際に、少なくとも似ているものはでてくるはずです。その文献はチェックしておき、再度アクセスできるように記録しておきましょう。検索中いろんな文献を見ることで自分のアイデアが更に膨らむこともあります。その際は手順①のように図を作成しましょう。

自分のアイデアと類似する文献や、同一に近いものがあったとしても、その文献よりも進歩性、新規性がある更なる付加価値が思い浮べば出願、請求を諦める必要はないかもしれません。

 

 

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 手順③出願書類を作成する際は、ひな型を使用して作成してもよいと思います。インターネットで 電子出願ソフトサポートサイト を検索し、ひな型をダウンロードします。特許フォルダを選択し、自分の出願に必要なものを選んでコピー&ペーストして使用するようです。私はワードのバージョンが古いせいか酷く使いにくかったことを覚えています。その為ひな型を使用することはありませんでした。

 特許フォルダから必要な物を選択といってもわからない場合は、一番左上のものを使用すればよいかと思います。それでも不必要な項目があると思うので、その辺りは発明協会で相談時に確認するとよいと思います。

 

 発明無料相談時の効率を考えると、相談前に仮の請求項が仕上げてあるとよいと思います。相談後に全て変更になるかもしれませんが、どの部分が欲しい権利であるかが伝わると思います。

 

 

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 手順④ある程度出願書類が定まったら、発明協会の特許無料相談に行きます。予約制の発明協会もありますので、最寄りの発明協会に一度電話で確認してみるとよいでしょう。

 

 相談するところまでくれば、あとはわからなかった部分を一気に解決することができると思いますので、出願に至るまで遠くはありません。上述したように最初はいろんな弁理士さんや相談員と相談し、話しやすい方や内容がわかりやすい方を絞って相談しに行くのもよいでしょう。特に請求項の内容について知恵を貸してくれる方が大変有難いです。

 

 また同じ方に相談を受けてもらいたい場合は、名前をお聞きして、いつ相談を受けているのかを確認してください。発明相談の続きを同じ方に応じてもらえることは大変有益なことであると思いますので、複数回発明協会へ特許無料相談をしに行くことが出願への近道であると思います。

 

 二つ以上の発明がある場合は二度目の出願は容易になるので、図面と仮請求項を仕上げた段階で発明協会に行き、相談員や弁理士さんに図面を見せて説明し、請求項について相談すれば一度の相談で特許出願が可能になるでしょう。

 その後拒絶理由通知が届き、補正をする際にもう一度発明協会を訪れ、弁理士さん等の発明相談を受ける。と言う流れで私は特許出願及び補正をしています。

 

 自分が作成した請求項に何の不安もないのであれば、そのまま出願、補正をしてもよいと思いますが、私は出願前や補正前には一度無料相談を受けることをお勧めします。それにより自分では気づかなかった違った見かたを発見したり、微妙なニュアンスで決めかねていた部分が定まったりします。行けば大概有益な何かを持ち帰りますから、出願前や補正前には一度発明協会で相談することをお勧めします。

 

 

コメント: 2
  • #2

    鈴木 (水曜日, 09 12月 2020 18:58)

    こんばんは。
    この度、自分で特許を出願しようと考えている主婦です。

    色々調べていましたら、ここにたどり着きました。ある程度は特許に関して知識は得たのですが、実践するにも何から始めていいのかも分からず不安でした。これから動くのですが、とても参考になり、感謝の気持ちがいっぱいでお礼含め投函しました。貴重な経験談を、ありがとうございました。

  • #1

    加藤 政子 (木曜日, 11 6月 2020 10:58)

    主婦の単純な考えで思いついた物でも出願できますか?
    相談機関に行ってバカにされないか心配です。